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2013.04.07

Sの字カワさん

お魚が。
2013_04_07

メーカー : Canon
機種名 : Canon EOS-1D Mark IV
Adobe Photoshop CS5 Windows
露光時間 : 1/1250 (秒)
レンズ F 値 : F4.5
ISO 感度 : 200
画像撮影日時 : 2012/12/24 09:17:09
レンズの焦点距離 : 600.00 (mm)

 kindle本で米原万里の「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」を読みました。これも何かのご縁、ちょいとご紹介します。

 筆者は9歳の1960年から1965年の14歳まで、共産党員であった父親の仕事の都合によりチェコのプラハで生活し、ソビエト大使館付属学校に通ったそうです。筆者と同様に各国から子弟が集まり、ロシア語で授業を受けていたとのこと。

 筆者がプラハの学友達のことを思い出して眠れぬ夜が続いたのは日本に戻って3年後、筆者が18歳となる年の1968年8月、弾圧されてしまった「プラハの春」の時。
 ソ連において結果的に崩壊へと向かう混乱が始まり、それに伴い東欧諸国が政治的に大きな変化に翻弄される1980年代後半に、筆者は当時親しかった少女達を探し求める旅に出ます。

 登場人物の少女時代が皆とても純粋で、正義感に溢れています。思い出というフィルターの効果もあるのかもしれませんが、教えられた理想を追い求めようと苦悩していた成長期の彼女たちの高い倫理観が胸に響きます。

 資本主義社会の国においては当然、共産主義は肯定しかねるものととらえられますが、筆者達の体験を追っていると、腐敗した社会、明らかに間違っているとしか思えない祖国を変えるためには、その政治体制、資本主義の体制を根こそぎ変えねばと考えた19世紀から20世紀初頭の時代があったことは、何を今更かもしれませんが、もっともなことにも思えてしまいます。
 実際には、変えねばならない、取り除くなど成さねばならなかったのは、経済的な体制による問題ではなく、ごく一部の人間がおのれの都合で人の生を蹂躙してしまう為政の仕組みだったのでしょうが。

 友人を大切に思い、強く結びつく少女たち。離れてしまった祖国、まだ見ぬ祖国に憧れ、殺されることになっても祖国へ帰りたいと願う者たち。ひたむきな思いが読んでいてなお苦しい、。freedial

 筆者のごく私的なはずの友人探しに手に汗を握ってしまうのは、中・東欧における社会の混乱が、まさに現実であったことを筆者の旅を通じて思い知らされるからかと。
 筆者がプラハで生活した当時から今に至るまで、日本においてもさまざまな社会的な葛藤、混乱があったはず。ただ、物語の場となった中・東欧での政治体制の混乱に振り回されながらも生き抜いた筆者の友人たちの姿を知ると、ユーゴスラビアの消滅さえ知らなかったじぶんの無知が、ウルトラ恥ずかしいです。thunder

 筆者は2006年、56歳で亡くなっています。
 1990年にソ連の宇宙船ソユーズに搭乗して日本人の秋山氏が初めて宇宙に飛び立つTBSのプロジェクトの際、筆者はロシア語の同時通訳の仕事でテレビにも出るなど忙しくしていたとのこと。その声をきっと私も聞いているはず。私とはたったの10歳違い。同時代人であるはずなのに、。

初版2001年6月 2002年 大宅壮一ノンフィクション賞

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